事もなげに御手洗は言う。私はまた動悸が打ちはじめ、喉の渇きを感じて、ビールの残りをあおった。
「あ、ビールを……」
レオナが腰を浮かせるのを、御手洗と私が同時に制した。
「僕のがまだあります」
御手洗が言った。
≪暗闇坂の人喰いの木≫より
一言言っていいかなぁ……。
――
お前等、何のつもりだ。
…いやいや、これは色んな意味でおかしいだろう。何にどう突っ込んでいいのか戸惑うけど、とにかくおかしいもんはおかしい。
他人の家で自分の呑んでいるものの残りを友人に渡そうというのも不自然な振る舞いだが、二人同時に注ぎ足すことを制したのもやはり不自然。
そして何よりそれを当然のことのようにやってのけたことは更に問題。
この二人と知り合って間もなかったレオナはさぞ違和感を感じたことだろう。
と言うより一番疑問に思うのは何故こんなシーンが書かれているのかという点だ。いらないだろう、このシーン。なくても何の支障もない。私はそう思う。
今最も知りたいのはこれを筆者が“何かを意図して書いたのか”“頭の中に浮かんだ情景を書き留めただけなのか”ということだったりする。
…まぁどちらであっても不自然であることには違いないわけだが。
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